レーダーと論理補正 I
チャフ直撃型APSが巷を賑わせていますが、その一助になるかもしれないものができました。
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はちゃめちゃな構造の多軸ジンバルでも、根本の姿勢を計算し、更にジンバルの各軸の姿勢までもを計算することで、目標の正確なワールド座標を取得することができます。
最近は誤差を定量的に表そうといろいろ頭を捻っています。 チャフAPSを作る上では誤差を±250mmや±125mmまで抑えたいのです。
レーダー側の精度は日に日に上昇しています。 ノイズのサイズは距離について実距離の±1%、角度では固定で±0.001ですから、実距離がだいたい40mを切れば精度は誤差±250mmくらいまで追い込めることになるわけです。ほんまか? ノイズ抑圧技術も着々と進歩しつつあり、低遅延、あるいはドリフトなしで方位角と位置を相互に推定するフィルタが現れ始めています。埼玉では未だ試験の域を出ませんが……
一方、機械工学的(?)な誤差抑制技術はレーダーのそれと比べ何歩か遅れている印象があります。 大抵の場合、ピボットの強度が足りないだとか、遅延がどうとか、どうしても誤差が出るのです。わたしも遅延を一致させたりはしているのですが…… ここまでくるとGPSとAltimeterの位置ズレすら恐ろしいかもしれない。
ミサイルの初期・中間誘導ではそこまでの精度やノイズ抑圧技術は必要とされませんでした。 SAM-7 Immersionが間違った推論に基づくミサイル側ローパスフィルタを実装されたにもかかわらずよく機能していたのも、万能たるアクティブレーダーホーミングのおかげですから。
しかし、砲熕兵器では誤差の発生源はレーダーや火器管制装置に留まりません。むしろ、よく補正されたFCレーダーを使っていれば、砲システムそのものがもたらす誤差のほうがよっぽど大きいわけです。 ピボット負け、振動、砲口の対地速度……そしてなにより砲口誤差。
ただし、砲口誤差はわたしのようなストームワーカーがやたらと精度を追求しなくなった大きな理由でもあります。 一般に、レーダーシステムの誤差や補正漏れ、機械的な誤差、システム遅延がもたらす誤差はStormworksのクソデカ砲口誤差よりずっと小さいわけです。特によく設計された砲熕兵器システムでは機械的誤差など気にならない。 榴弾砲や艦砲のみならず、ごく近距離の防空を担うCIWSですら砲口誤差のおこぼれに預かっていたとも言えます。
ですが、突如としてチャフAPSの時代が到来し、しかも春日部つむぎ大統主席総理書記長がそれを、対地・対気速度や姿勢が目まぐるしく変化する攻撃ヘリに載せようと言い出したものだから大変です。
チャフ・フレアには原理上砲口誤差が存在しません。無風時真上に打ち上げれば、やがてはフレアランチャーのもとへ帰ってきます。この高精度・大質量(25massと推定されています)を活用しない手はありません。が。
それはつまり、チャフ直撃型APSを管制するレーダー装置、弾道計算機、ジンバル、各種機構が生み出す誤差がやたらと強調されてしまうということでもあります。 加えて目標の見かけ上のサイズは大抵250mm*250mmです。 どうすりゃいいんだ?
……どうするべきかよくよく考えて、過剰なまでに計算精度重視のレーダー装置ができたところまでが、今日のおはなし。